市中金融機関(銀行・住宅金融公庫等)から、不動産を担保に融資(住宅ローン・事業融資等含む)を受けているとき、諸事情により返済が滞るとします。銀行が強制的に貸金を回収しようとすれば、その不動産を競売にかけることになります。
しかし、競売にしたときのデメリットを考えて、不動産を任意に第三者に売却することを言います。
このように、担保不動産を、法的手続によらずに、売買契約によって第三者に売却することを任意売却といいます。
任意売却の際には、担保を抹消しなければなりません。よって、担保を抹消してもらうかわりに、市中金融機関には売買代金からお金を支払うことになります。
いくつも担保権がついている場合には、先の順位の担保権から順番に配当されていき、最後の担保権などは、ハンコ代程度で抹消に応じざるを得ないこともしばしばです。
任意売却と競売の違い・メリット
●プライバシー
任意売却:一般の売買取引と同じ販売方法ですので、ご近所付き合い等、公告されません。
競売:新聞や情報誌に掲載され、入札する不動産会社が近隣の聞き取り調査を始めます。
●引越し
任意売却:引越し代、退去時期等のご相談は人道的判断に委ねます。
競売:引越し代がなくても、競売で落札された後は、すぐに出ていかなければなりません。
●売却代金
任意売却:市場価格に近い金額で売却できますので、残債務が少なくなります。
競売:市場価格より2~3割安い価格で落札されることが多く、残債務が多く残ります。
●残債務の対応
任意売却:残債務が残ったとしても、債権者様との交渉により、返済方法について柔軟な対応をしていただけます。
競売:競売後も残債務の支払い請求は続き、債権者様と残債務の相談が出来ません。
※一括返済を迫られることもございます。
●債権者様
任意売却:相談者様、債権者様、購入者様の話し合いにより、納得して売却しますので、競売に比べると高く売れ、債権の回収額が増加します。
競売:一番順位の抵当権者様が、その元本・利息・遅延損害金・競売申立費用などすべてを丸取りし、後順位の債権者様には一銭も配当されないこともございます。
●メリット
任意売却:所有者の持ち出し(売却時にかかる)費用が基本的に無料です。
競売と違い、債権者との交渉で、引越し代等を経費として受け取る事が可能です。
競売:落札されるまでは住み続けられますが、その間にも遅延損害金など、余計な金利が加算されて請求されます。
●デメリット
任意売却:契約・決済の際に、指定された場所に出向かなければなりません。
一定期間は住宅ローンなど金融機関からの融資を受けることが出来ません。
競売:安く落札されるため債務が多く残ります。
落札者様から立ち退きをせまられると、引っ越し代がなくても出ていかなければなりません。